◆BSCメンバーの集まりであるBook Reviewの会に参加いたしました  (2019.01.25-26)

 今回の書籍は、「ティール組織」、元タイトルは「Reinventing Organizations(再発明された組織?)」です。今回は、明治大学の歌代教授がまとめ役をご担当くださいました。

最初の第1部に歴史と進化として、人類のパラダイムと組織の発達段階の話があります。

 色で区分されているのはイメージしやすいようにだと思います。ケン・ウィルバーさんの意識のスペクトラム理論に準拠しているとのことです。意識のスペクトラム理論では人間の意識は虹の変化のように段階的に、ただし、徐々に(グラデーション)変化していくということなので、組織の発達段階もきれいにどの型になるというわけではなく、色々な色(モデルイメージ)がグラデーションのようになっているということなのかもしれません。

▼人類のパラダイムと組織の発達段階

 第2部では、ティール組織の構造、観光、文化が説明されます。自主経営(セルフ・マネジメント)、全体性(ホールネス)、存在目的に耳を傾けるの3つが、ティール組織の特徴ということです。現在一番多い組織モデルであるオレンジ組織との比較で、ティール組織の利点をまとめてあります。社会の動向や人々の意識としての方向性などは理解できるのですが、組織構造として本当にそうなのかな?という部分もあります。さらにアンケート調査やインタビューもされてたくさんの事例が掲載されているのですが、その組織が本当にそのような組織になっているのかなという疑問もわきます。たぶん、グラデーションなんだろうなという印象です。再発明されたものなので、これからこのような組織が増えていくということかもしれません。

 また、私はパナソニック(旧松下電器)に所属していたのですが、パナソニックになる前の松下電器は結構先ほどの「自主経営(セルフ・マネジメント)」、「全体性(ホールネス)」、「存在目的に耳を傾ける」の3つを実践していたように思います。存在目的は、経営理念の中に世界文化の進展に寄与するんだと謳われており、社員はそれを毎日、朝会で唱和した上で、その日の担当が自分はそれをどう実現していくのかと自分の活動の中で、具体的に話す場があり、一人一人が意識しながらやっていました。商店経営という社員一人一人が経営者という意識で、自主的に活動をするということも行われておりました。ただし、事業計画や達成目標は明確でしたので、この部分は投資予算や達成目標がないティール組織とは違っていたかもしれません。とはいえ、売上げや利益は目的ではないということは、徹底して言われます。社会やお客様に貢献した結果として利益が出るのだ、利益が出ないのは社会に貢献できていないからだが徹底されていました。全体性の中で言われる組織文化が大事だという考え方さらにその研修が極めて重要という部分も、松下幸之助創業者の「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、松下電器は人をつくるところです。併せて電気器具もつくっております。こうお答えしなさい」という言葉とダブる部分が多いです。

 もしかすると、以前の日本企業の多くは、ティール組織だったのではないかとも思えます。そこに欧米流の経営の考え方を形だけ輸入してしまったので、ティールからオレンジに逆戻りしてしまったのかもしれないとも感じます。

 600ページを超える大著ですが、日本語解説を書いておいでの嘉村賢州さんによると要約などを読んでも本質は理解できないので、きちんと全部読んでほしいと筆者はおっしゃっているとのことです。私は残念ながら、全部読めていません。著者のフレデリック・ラルーさんのお話もYouTubeにあります。これがまた相当に長いですが、想いは伝わると思います。

 次回のBook Reviewの会は、「プラットフォーム・レボリューション」、その次は「サブスクリプション」を予定いたしております。

▼『ティール組織』解説の嘉村賢州さんのお話

▼著者フレデリック・ラルーさんのお話

▼書籍の案内(Amazon)

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