◆【第7回】『4月からの大学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシンポジウム』に参加しました(20200508)

国立情報学研究所では、3月26日から、大学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシンポジウムを実施されておいでです。今回、第7回シンポジウムに参加させていただきましたので、状況を共有させていただきます。

講演は、Webex Eventsを利用して実施されました。また質疑に関しては、slackを活用されておいでです。

最初に国立情報学研究の喜連川所長より、シンポジウムの取組の概要と大学授業の情報通信量の削減(データダイエット)、動画をできるだけ減らす工夫についてお話をいただきました。オンラインでの講義が増えてきますとこのようなことも考えていく必要がありますね。

続いて、文部科学省の村田義則局長のお話があり、文科省の考え方を皆さんに直接にお話をいただけるとても良い場になっているとのことでした。

三番目には、経済産業省のソフトウェア・情報サービス戦略室長である田辺様より、PCの需給状況と見通しをおはなしいただきました。PCがなくなるのではないかという不安に関してのお話でした。

・需要サイド:学校の休校や在宅勤務によってPCの需要が急増

・供給サイド:中国工場の停止などによって、供給が低下

・PCの需要はWindows7のサポート終了と改元(平成から令和になった影響)によって、2019年はピークになった。そこで、2020年は減少を見込んでいたが、急増した。減少の可能性もあるが、小中学校は一人一台(GIGAスクール構想)へで、需要増も見込める。PCの生産国である中国からの輸送が船便になって遅くなった。結果、PCの在庫はあるが、品薄に見える。

・テレワークは一巡。法人向けは10万円前後で、この瞬間は足りないがいずれ戻ってくるはず。

・GIGAスクール向けの5万円以下のPCは今後の動きがポイントになる。

・デスクトップは需要が落ち込んでいる状況もある。

四番目は、須永先生から運動についてのお話でした。運動すると長生きするという当たり前ですが、改めて運動は大事ということですね。

・筋肉は可塑性が高い(運動すると肥大する、運動しないと委縮する)

・1日30分、4週間の運動でうつ状態の改善傾向があり、元気になれる

・女性特有のお話もありました。これにも運動は効果あり

・オンライン授業の姿勢で、同じ姿勢を続けていると問題あり、ぜひ講義の途中で運動を入れてほしいとのお話もありました。

五番目は、早稲田大学の向後先生が、規模別によるオンライン授業の設計の具体例をお話しくださいました。向後先生は15年前からオンライン授業を実施しておいでです。私もパナソニックにいる時(すでに7年以上がたちました)から、向後先生のお書きの書籍や論文を参考にさせていただいておりました。

 ・資料は動画である必要はない。既存のテキストをLMSに上げるだけでも十分

 ・顔はあってもなくても学習効果にあまり関係ない

 ・実技はカメラワークが大事。専用カメラで撮ったほうが良い

 ・★ビデオの後にフィードバックが大事。小テストやミニッツペーパーで確認する

 ・テストがあるだけで、きちんと見るという効果あり

 ・グループによる活動は手間がかかるが実施すべき。ルーブリック評価が必要。

 ・小規模授業(ゼミ・演習)では、事前課題を出しておくべき。さらに発言しないと評価されないことを認識してもらうと発言が始まる

・中規模(30人程度)、

・大規模(50人以上)、レクチャービデオをオンデマンドで作って、活動のフィードバックで評価。学生の相互評価も重要

・リソース⇒活動⇒フィードバックの1サイクルで行うこと。

 オンラインは必要最小限に、オンデマンドを中心にする。

・オンラインは対面授業を超えることを目指すべき。

六番目は、京都大学の京都大学学術情報メディアセンター教授の緒方先生から「LMSを使ってオンライン授業をやってみよう!」京都大学での事例をご紹介いただきました。

Moodle:世界で一番使われているLMSで、Moodleでの講義のやり方の説明をいただきました。

BookRoll:教材を置く場所と配信の仕組み。音声やPDFを聞いたり見たりはできるが、ダウンロードできないことが特徴

Analysis Tools:分析のツール

LEAFを使って、小中高等学校や大学では、実際にMoodleやBookRoll、Analysis Toolsで、オンライン授業を提供できるとのことです。

第七番目は、文部科学省高等教育局専門教育課企画官である西山崇志氏より、「大学・高専の遠隔授業の推進施策に関する最新状況をご紹介いただきました。

・オンライン授業を活用することで、フィジカル授業以上の効果を上げて行けるようにしていきたい

・新型コロナウィルス対応で、オンライン化した授業の取り扱いや個々の先生、大学全体での取り組みへを行ってほしい

・実験などについては、時期の見直しも図ってほしい

・次年度以降も継続的に受けられるようにしてほしい

・データダイエットへの取り組みもお願いしたい

・学生への経済支援のご紹介もいただきました。先生方からもこの内容を学生の皆さんに紹介してほしいとのことです。

第八番目は、神奈川県立川崎北高等学校の柴田功校長から「神奈川県立川崎北高等学校におけるオンライン授業実現に向けた取組」をご紹介いただきました。

黒板を使いながら、映像を配信する形で進めていただきました。データダイエットはできていないがオンラインでやりますとお話しされて、黒板を指しながら、実施されましたが、ずっと画面を眺めているのと違い、お顔を見ながら映像でお話しいただけるとホッとします。ずっとオンデマンドではなくて、動きが入るのはとても重要ですね。高等学校らしい取組をやっておいでです。音声が時々小さくなることがあるので、音声の工夫はやはり重要だなと感じました。

・あえて、アナログでやってよいとしている

・ご家族の皆さんも見ていただけるように、一部はホームページにも掲載する

・オンライン講座を見られない家庭があったが、神奈川県がモバイルルータを整備してくれたので、各家庭で対応できるようになった

          

第九番目は、京都大学工学研究科・図書館機構の長引原隆士氏より、「コロナウイルス感染対応に見る大学図書館の課題と今後」についてお話をいただきました。

大学図書館の状況ということで、

・場の提供が必要なので、閉鎖せざるを得ない

・図書館は自助努力では解除できない

・ICTでどこまで対応できるか? ほとんどは難しい。

・今後は、資料の電子化が必要である。教育・研究基盤のオープンデータ対応が求められる。

・今はチャンスいう人が多いが、必然としてデジタルトランスフォームが行われていなかったということ。今後は、必然としてやっていく必要がある。

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<プログラム>

10:30-10:33(3分) 1. 「開催の言葉」 喜連川 優 国立情報学研究所長

10:33-10:36(3分) 2. 「文科省ご挨拶」

10:36-10:51(15分) 3. 「国内のPCの需給状況と見通し」

田辺 雄史 経済産業省商務情報政策局情報産業課

ソフトウェア・情報サービス戦略室長

10:51-11:11(20分) 4.「運動が心身の健康を守るー女性の身体的特性をふまえてー」 

          須永美歌子 日本体育大学児童スポーツ教育学部教授、

学生支援センター学修・キャリア支援部門長

11:11-11:26(15分) 5.「規模別によるオンライン授業の設計の具体例」

           向後 千春 早稲田大学人間科学学術院教授

11:26-11:46(20分) 6.「LMSを使ってオンライン授業をやってみよう!」

           緒方 広明 京都大学学術情報メディアセンター教授

11:46-11:56(10分) 7. 「大学・高専の遠隔授業の推進施策に関する最新状況

 ~遠隔授業の実施に係る留意点、補正予算に関する公立大学の対応等を中心に~」

           西山 崇志 文部科学省高等教育局専門教育課企画官

11:56-12:06(10分) 8.「神奈川県立川崎北高等学校におけるオンライン授業実現に向けた取組」

           柴田  功 神奈川県立川崎北高等学校校長

12:06-12:16(10分) 10.「コロナウイルス感染対応に見る大学図書館の課題と今後」

           引原 隆士 京都大学工学研究科・図書館機構長

12:16-12:20(4分) 11.「おわりに」  喜連川 優 国立情報学研究所長

<本件に関する問い合わせ先>  国立情報学研究所 学術基盤推進部 学術基盤課  plan@nii.ac.jp

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時間が押して終了は20分程度遅れました。喜連川所長からは、前回までのアンケートで時間をゆっくりやってほしいとの要望が多かったので、今回は少しゆったりとったというお話が最初にあったのですが、それでも時間が押しました。オンラインでの実施には十分な余裕が必要ですね。

また、2時間を超えるオンラインでのお話を聞いているのはとても疲れます。これから2日間や6日間のオンライン研修をやっていかないといけないので、受講している方の気持ちになって、できるだけ余裕を持った進め方を心がけたいと改めて感じました。

▼これまでの講演の内容

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